心不全患者の緩和ケアも推進を―厚労省検討会
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=10006 …
こういう記事が出ていました。
セラピストとして心不全の方に関わる場合、当然できる範囲で機能改善を図っていくんですが・・・末期心不全の場合はなかなか病勢のコントロールがつかず、リハビリが進められないこともたくさんあります。
がんのリハビリと同様に、心臓リハビリテーションも積極的治療が難しくなった方に対してどのように関わっていけるのか?というところがこれから問われてくるのかな、と思います。
特に心不全の場合は飲水制限や利尿薬投与、酸素投与など患者さんにとってストレスになっていること自体がそのまま治療の一環であることが多いので、緩和ケアとひとくちにいっても「何を、どこまでするのか/しないのか」というところの線引きがなかなか難しい気がします。
さて、心リハクイズのシリーズも今回でついにpart10にたどりつきました!さっそく今日の問題にいってみましょう。
※私が個人的に勉強した文献、参考図書をもとに問題を作成しておりますので、可能な範囲で内容を吟味はしていますが、その正確性を保証するものではありませんのでご了承ください。
第15問
心不全に対する運動療法の絶対禁忌として、誤っているものを2つ選べ。
1.手術適応のある弁膜症
2.過去1週間以内に呼吸困難感が増悪した心不全患者
3.過去1週間以内に体重が2kg以上増加した心不全患者
4.左室駆出率低下
5.活動性の心筋炎
解答・解説
正解:3.4.
1.もちろん絶対禁忌。特に大動脈弁狭窄症。
2.呼吸困難感や倦怠感などの自覚症状の増悪は絶対禁忌です。
3.体重増加はもちろん注意すべき所見ですが、これは他の所見と合わせて総合的に判断すべき項目なので、相対禁忌となっています。よって誤り。
4.EFが低いことイコール運動が禁忌になるわけではありません。よって誤り。
5.絶対禁忌です。
第16問
運動療法中の事故・リスク管理に関して正しいものを2つ選べ。
1.散発性の心室性期外収縮が発生した場合は、すぐに運動を中止すべきである。
2.運動開始前に心房粗動の所見があっても、通常より運動負荷を下げれば運動療法は可能である。
3.空腹時血糖が135mg/dlの場合、運動療法は禁忌である。
4.運動中止後から数分の間は、自律神経の影響で迷走神経反射が起こることがあるため注意が必要である。
5.外来心疾患患者の運動療法中の心停止率は1/60000という米国での報告がある。
解答・解説
正解:4.5.
1.散発性の場合は注意深く観察しつつ、そのまま運動を継続し経過をみることが多いでしょう。運動中に徐々に増加したり、多源性の期外収縮の所見があればすぐに運動を中止します。よって誤り。
2.運動療法は中止します。よって誤り。
3.空腹時血糖が110-139mg/dl→運動療法の適応
140−249mg/dl→条件付き適応
250mg/dl以上→運動療法は禁忌。よって誤り。
4.その通り。トイレでの排便後などにもよく起こります。
5.その通り。健常人の場合の確率は56万分の1。
まとめ
第15問は心不全の運動療法に関する出題でした。絶対禁忌と相対禁忌、ややこしいですね。あと高齢やEF低値は特に運動療法の禁忌ではない、というところも誤解しやすいところです。
この問題は2012年改訂版の「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」を参考に作成しましたので、詳しく勉強したい方はそちらをご確認ください。
第16問は運動療法のリスク管理に関する問題でした。心事故の確率については講義でもかなり強調されていた部分ですので、本番でも出る可能性が高いと思います。
それ以外にも血糖値や血圧、不整脈などいろいろな分野で「こんな状態の人は運動させちゃダメですよ/いいですよ」という線引きがあります。試験を作る人からすると、非常に問題にしやすい部分と思われますから(笑)、しっかりおさえておきましょう!
いかがでしたか?part10はこれで終了です。
試験勉強疲れで体調を崩さないよう、適度に休憩を挟みつつ勉強頑張りましょう!
過去のエントリーもだいぶ増えてきました。勉強の参考にしてみてくださいね。