何気ない会話でリハビリ効果をみるみる高める3つのポイント

相手と一対一の状況で話す仕事って結構ありますよね。
ぱっと思い浮かぶのは美容師さんとか、タクシー運転手さんとか、不動産屋さんとか。

私たち理学療法士も、基本的にはそういうお仕事です。もちろん身体の話をしてることが多いですが、ある意味接客業でもありますから、患者さんによって本当にいろいろな話をします。

今日はそんな普段の会話の中から、リハビリ効果を高めていくというお話です。

よく話す人もいれば、喋る元気がない人も。

実際に現場では認知症の方、高次脳機能障害がある方、意識レベルがクリアではない方・・・などいろんな人がいます。その方によって話す内容、声量、表情など全部変えて関わっていくのがPTの仕事。

ただし今回は基本的にクリアな方を対象とした会話内容という前提で話を進めていきますね。

入院している患者さんの中には、自分の中で話したいことや気になっていることがあって、話を聞いてくれるとわかると堰を切ったように話し出すタイプの方、けっこう多いです。

この場合はこちらからどんどん話を振っていくというよりも、ひたすら聞き役に徹することが大事。いわゆる傾聴ですね。話の流れをなるべく止めないようにします。

ある程度話し終わってスッキリすると、今度はこちらのターンになります。

さあ、少し筋トレしましょっか(笑)

大変なのは話す元気がない方や、気分が落ち込んでいる方ですね。特に男性に多いんですが、入院するとしょんぼりしちゃって、身体的には動けるのに昼間っから寝ちゃうんです(笑)

こういう方に、正面切って「動かないと体力が落ちちゃうから、リハビリしましょう!(にこっ)」と言っても、うまくいくことはあまりありません。

リハビリ効果を高める会話の方法

「リハビリ効果を高める」と書きましたが、当たり前のことですがリハビリ効果を高めるには患者さんが運動してくれればいんです。もっと言うと、こちらの指示通りに運動を行ってくれさえすれば、運動療法としての効果は期待できます。

ここが実は多くのセラピストが考え違いしているところです。

必ずしも「ああ、なんか運動したい気分になったよ!やっぱ歩かないとね」という心理状態に患者さんをもっていくことが必須なわけではありません。(理想ではありますが)

「なんかこの人いろいろ話してくれるから、一緒についていくか。どうせ暇だし」くらいの気持ちで十分なんです。

そのために重要なポイントは3つあります。

①こちらの先入観や断定が入った質問を避ける

とにかく、少しでも共感できる話題をみつけて楽しい気分に持っていかないといけませんから、最初からこちらの断定が入っているような質問は避けるべきです。

例えば相撲の話題に触れる場合・・・

×「昨日は横綱、強かったですねえ。」

○「春場所始まりましたね。普段は相撲はご覧になったりしますか?」

特定の力士などに断定した質問の場合、相手がその力士を好きならいいんですが、そうじゃない場合もよくあります。

まず相撲をよく見るか聞いてみて、相手が相撲好きだとわかってから、「ご贔屓の力士はいるんですか?」などと会話を広げていくといい感じがします。これは野球の話などでも同じことが言えますね。

80代の男性がみんな相撲好きなわけではありませんし、大阪生まれの人がみんな阪神ファンなわけでもありません。こちらの先入観を押し付けてしまうと相手のガードはどんどん上がっていってしまいます。

②「それほど浅くない引き出し」をいくつか持っておく

会話はキャッチボールですから、スポーツから政治から文学、映画などなど、こちらの引き出しがたくさんあったほうがもちろん会話は盛り上がります。

でも、浅い知識しかないと逆に話が盛り下がってしまうんですよね。

スペインサッカー好きな相手に「いやー、やっぱりロナウドとメッシですよね。」みたいな話をしても全然共感を得られないでしょう。

でも、「でも、イニエスタも移籍しちゃうとカンテラ出身がますます減っちゃいますよねー」って言われると・・・「あれ?なんかサッカー詳しいのかな?」と話がつながってきます。

要は『マニアックっていうほどじゃないけど、それほど浅くない知識(軽めの蘊蓄)」をいろんな分野で持っておくことがすごく重要なんです。

映画、音楽、文学などの芸術全般やスポーツ、食事、料理、観光、恋愛・・・などなど、テーマは無数にあります。

いろいろな蘊蓄があるほど、相手が共感できる「面」が増えるので、会話は盛り上がりやすくなります。

ちなみにこれは実話ですが、患者さんが「昔さ、東京オリンピックのマラソン見に行ったんだよ。アベベっていたじゃん?」という話題を振ってくれているのに、「はあ、アベベですか・・・」とPTが返してしまい、微妙な雰囲気になっている場面、隣で見たことあります。

「アベベってあの裸足のランナーですよね。円谷は銅だったんですよね!」これが返しとしては100点でしょう。会話が弾んだ分、ROMもプラス5度くらいは拡大するかもしれません(笑)

③相手の世代性、時代背景の理解

これは②の項目の応用編です。

人間は人それぞれ皆個性がありますが、育ってきた世代や時代からは逃れられないものです。

つまりその方の生まれ育った世代性、時代背景をよく理解した上で話を進めると、キャッチボールがポンポン気持ちよくつながりますので、異様に(笑)話が盛り上がります。

例えば、「満州引き揚げ」「金の卵」「街頭テレビ」「赤バット青バット」

こうしたフレーズがどんな意味で、いつの時代の言葉かわかりますか?

戦中〜戦後に青春を過ごした世代の方は、こういう言葉をしっかり理解した上で使っていると、すごく喜んでくれますし、会話の反応もよくなります。

特に、2025年以降は団塊の世代が後期高齢者に突入してきます。

「学生運動」「グループ・サウンズ」「高度経済成長」「バブル経済」

など、彼らの世代に共通する背景については、ある程度引き出しを持ってやりとりできるように準備しておくことが必要でしょう。

心理的ハードルをうまく外す

ここまで述べてきたことはもう少し専門的には、「対象の情動に働きかけることで自己効力感を高め・・・」とかいろんな言い方があります。

でも実際の現場では、患者さんのやる気を高めよう!とあまり構えない方がいいと私は個人的に思います。患者さんはみなさん人生の先輩ですから、作為的なやり方はすぐ見抜かれます。

単純に話してて楽しいな、という状態になれば、基本的にこちらの言うことを聞いてくれます。運動してくれるんです、ある程度は。いったん運動療法のレールに乗ってしまえば、こちらは専門家ですから、その人にあったオーダーメイドの治療が展開できます。重い腰を上げていただいて、このレールに乗せるところまでが大変なんです(笑)

特に急性期病院では、皆さん入院したくてしてるわけじゃありませんから、リハビリしましょうなんて言われても気が乗らないんです、誰でも。

その心理的ハードルをぽんっとこちらがうまく外してあげると、リハビリの効果はみるみる高まります。これはリハビリのテクニックというよりも、コミュニケーション上のテクニックです。

・・・そのためにはセラピストの側が医療的な知識だけで頭でっかちな人間にならないようにしないといけないですよね。まさに「書を捨てよ町へ出よう」!

はい、ピンときましたか?

ここからトーク広げてください(笑)

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