ここ最近は心リハ関係の記事は少しお休みしていましたが、そろそろ再開していきますよ。
来年の指導士試験を目指していろいろ情報収集している方は、こちらの記事もチェックしてくださいね。
【まずはここから始めよう】心臓リハビリテーション指導士勉強法
今日は、心臓リハビリテーションについて学びたいけど、どんな本から読めばいいんだろう?心リハ指導士の勉強に役立つ本って何があるだろう?という方向けにいくつかオススメの書籍を紹介したいと思います。
循環器疾患全体の基本をおさえるのに最適な一冊
心臓リハビリテーション必携はみなさん既に購入しているものとして、話を進めていきますね。
循環器系の勉強をしようと思うと、特に新人PTに多いんですが、心リハに特化した専門性の高い書籍ばかりに目が行きがちです。
もちろんそれはそれで必要なんですが、そもそも解剖・生理学的な知識や、各疾患の病態といった基本がしっかり理解できていないと、本末転倒ですよね。
ということでおすすめはこちらの一冊。病気がみえるシリーズの循環器です。
どんな疾患なのか?という説明だけでなく、どういう機序でそういう疾患が起こるのか?というところまで突っ込んでいたり、診断をつけるための検査方法についても最新の情報が掲載されています。
ちなみに2017年に出た改訂版では、スマホでQRコードを読み取るとそこから心音(正常心音から疾患別の心音まで)を聞くことができます。いまどきですねえ〜(笑)。臨床的にも明日からすぐ役に立ちます。
オールカラーでイラストが非常に見やすかったり、価格が専門書にしてはお安かったりというところも嬉しいポイントです。
この一冊の中に循環器系の基本的な知識は概ね網羅されているといって過言ではないでしょう。どの項目もはじめにミニマムエッセンスとして各疾患の要点がまとめられていますので、ちょっとあの疾患ってなんだっけ?というときに辞書的な感じで使うこともできます。
リハビリについての記載は少ないですが、疾患についての掘り下げでは心リハ関連書籍よりもずっと詳しいです。手始めに何から勉強しよう…と悩んでいる方はまずこの本から学んでみるといいかもしれません。
心電図が苦手!という方にオススメの一冊
心リハに関わる場合、心電図はもちろん理解できていないといけませんが、かといってリハ職種はそれを判読して診断につなげる仕事ではありませんので、どこまで詳しく勉強するか、というのもなかなか判断に迷うところです。
もちろん時間をかけていわゆる教科書的な手順でじっくりとリズム、電気軸、P波、QRS波…というように順を追って見ていけばどんな異常があるかは判断できるようになってくると思いますが、リハスタッフの中には「そんなのよくわかんない!忘れた!」と心電図アレルギーな感じになっている人が多いのもまた事実。
「これが異常な心電図だ」ということは教わっていても、そもそもどういう風に心電図を見ればいいのか、というところを丁寧に教わってないからある種当然かもしれません。
ということで改めて心電図の基礎を学ぶのにぴったりなのがこちら。
12誘導心電図って情報量が多すぎて、どこをどう見ればいいのかよくわからなくなりがちですよね。この本では「何を見なくてはいけないか」というところだけでなく「どこを見なくてもいいか」(ここは無視しても問題ないところですよ)というポイントを教えてくれているところが画期的です。
3つのステップに分けて、心電図を読むための視線の動き(どの誘導をどういう方向に見ていくのか)と視点(血行動態、ポンプ機能、症状の有無)についてわかりやすく説明しています。
医療現場で、数時間で数百枚の心電図を見なければいけない、でも危険な不整脈は見逃してはいけない…というような過酷な経験を通してこの本の筆者が編み出した「心電図のトリセツ」がこの本の中にエッセンスとしてまとまっています。
文章は語り口調でフランクな感じなので、あまり構えずに読み物感覚ですらすら読めちゃいますよ。大学受験の参考書でよくある「○○先生の日本史講義」みたいな本を読んでいるような感覚です(笑)。
下手な講習会に高いお金を払って参加するよりも、この本を読んで実際に現場で心電図をどんどん見ていった方がよほど勉強になる気がします。心電図に対する苦手意識を払拭してくれる一冊です。
CAGについてもっと知りたい!という人に
心カテをやっている病院であれば、電子カルテでレポートを詳しく見られるようになっているところがほとんどだと思いますが、この画像はどの方向から撮影しているの?この血管はLAD?LCX?などカルテのレポートを見ているだけではいまいちわからないこと多いですよね。
病院によっては心カテの様子を見学させてくれるところもありますが、もちろん限られていますし、そもそも急性期病院以外に勤務していて心リハの勉強をしたい人はなかなか心カテに触れる機会自体が少ない現状があります。
そんな方にオススメなのがこちらの一冊。そもそも研修医向けに書かれている本なので、とにかく実際の造影画像とその説明がわかりやすい。
また冠動脈CTAとの比較なども豊富に取り上げられていますので、臨床現場で画像だけを見ても何がなんだか…となる方は読んでみるといろいろと発見が多いかもしれません。
こちらはリハスタッフ必読!という訳ではありませんが、心カテの所見をもっとしっかり理解したい、という人にはオススメです。
心リハについてしっかりまとまっている本は?
さて、ここまできてやっと心臓リハビリテーションの専門書を紹介します(笑)。
まず心リハの流れと基本的な知識を習得したい、という方向けの本が「なぜ」から導く循環器疾患のリハビリテーション 急性期から在宅まで。
実践編と検査・評価編と知識・治療編、在宅・高齢者・小児編の4つに分かれた構成になっています。特に実践編は完全にセラピスト目線の内容で書かれているので、「運動療法をするにあたってなぜこういうことを知っておかなければならないのか?」というような現場ですぐに使える内容がたくさん載っています。
あとは急性期の話にとどまらず栄養面の評価とか、高齢者のフレイルとか小児の先天性心疾患とか幅広い内容を取り上げていて、内容的にも非常にバランスがいい本だと思います。「循環器の病棟は完全に初めてです!」というリハスタッフにまず読んでもらいたい一冊です。
そして最後はこちら。狭心症・心筋梗塞のリハビリテーション―心不全・血管疾患の運動療法を含めてです。
こちらは2009年に改訂された第4版ですね。心リハ関連の書籍の中では鉄板だと思います(笑)。
タイトルの通り、狭心症・心筋梗塞だけでなく心不全や心外術後、不整脈(ICD・CRT)患者や末梢動脈疾患など、心リハの対象となる多様な疾患についての運動療法の進め方やリスクについてエビデンスを元にわかりやすく解説しています。
個人的には特に運動負荷試験の解説が非常にわかりやすいと思います。心臓リハビリテーション必携と合わせて使うと心リハ指導士の試験勉強にもバッチリです。私はほぼこの2冊と、ガイドラインを中心に勉強していました。
心リハ指導士の勉強を抜きにしても、急性期病院で循環器疾患を担当することがあるリハスタッフは持っていると非常に役立つ一冊だと思います。
二冊を比べてみると「なぜ」から導く循環器疾患のリハビリテーション 急性期から在宅までのほうがどちらかというと初学者向け、狭心症・心筋梗塞のリハビリテーション―心不全・血管疾患の運動療法を含めてのほうがある程度心リハの経験がある上で読むとより役立つかな…という印象です。
ということで5冊ご紹介しました。
しかし改めて考えると「病気がみえる〜」のコスパすごいですよね。あの内容でオールカラーで4000円以下ですから(笑)。
基本的に医療系の専門書は高い買い物ですから、自分にとって今どういう知識が必要なのか?をよく考えた上で購入するようにしましょうね。
また良い本があればどんどんこのブログで紹介していきますのでお楽しみに!