新型コロナウイルスの影響でバタバタしていてそれどころではない、、、という方も多いかもしれませんが、実は時期的には心リハ指導士試験の出願期間なんですね。
心リハ学会のHPによると4/3-4/27必着となっております。なので早い方はすでに提出されたと思うのですが、期限ギリギリの今の時期に書類をまとめている方も多いのではないでしょうか。
症例報告書作成はなかなか大変!
出願書類の中でメインといいますか、特に時間と労力をとられるのが、「自験例報告書10例」です。これはご存知のように自分が経験した心リハの症例を10症例選び、症例報告(評価、運動処方や患者指導の内容、考察など)としてまとめるものです。
PT・OTなら症例報告のレジュメを作る、というのは割と日常的に行っていることなので、なんとなく脊髄反射的に流れは作れると思うんですが、それはあくまでも「PTとして」「OTとして」の解釈です。「心臓リハビリテーション指導士」としてどう評価し、治療していくか、というところはまた微妙な文脈の違いがありますので、そのへんの機微をよくおさえると、わかりやすい報告書ができると思います。
私が心リハ指導士をとったのは2017年なのでもう3年前ですが、当時を思い出して気をつけたいポイントをいくつかまとめてみました。
症例報告書作成で重要な5つのポイント
①「多職種でのアプローチ」をしっかりとアピールする
心臓リハビリテーションでは、「多職種でアプローチする」という視点がとても重要になってきます。これがリハ専門職の同士で職場や学会などで症例報告する時との一番の違いだと思います。
特に心リハで重要なのは患者指導です。入院中の治療、リハでよくなっても家に帰ったら言われたことを全く守れずまた再入院してしまう・・・というケースが現実問題として非常に多いわけです。
ですから患者指導をいかに多職種と連携して全力でやったのか?というところをしっかりと記載することがポイントだと私は思います。
例えば「看護師と連携して心不全の症状チェック、飲水量の管理について説明した」「管理栄養士とともに退院後の塩分摂取量、飲酒量の目安について本人・家族に説明した」というように、具体的にリハ職種以外の人とどのように連携したのか書いてあるとわかりやすいでしょう。
②心機能の評価は重要な点を簡潔に
心疾患で入院しているわけですから、当然のことですが心機能の評価はたくさんやっています。逆に言うとデータがたくさんありすぎるので、「あれもこれも載せないと・・・」となってしまいこの項目のボリュームがやけに大きくなってしまいがちです。
例えば心エコーでいうと、左室駆出率、弁膜症の有無、壁運動異常の有無などはどの症例でも記載していいと思いますが、心エコーのレポートってそれ以外にもたーくさん項目がありますよね。たくさんの数値がある中で「この症例はHFpEFだからE/A比も入れておこう」というようにしっかりデータ・その人の病態を解釈したうえでその所見を載せるか選択することがとても重要です。これができないとどの症例報告も心機能の評価の項目が似たり寄ったりになってしまいます。
③心臓リハビリテーションの効果は運動耐容能の改善だけではない!
なんだかんだいっても結局心リハの効果で一番わかりやすいのは運動耐容能の改善です。リハ介入前後でCPXをかけることで数値的にもばっちり出せますので、症例報告にも「これだけよくなりました」という形で提示しやすいですよね。
ただ、実際の臨床では運動耐容能はそれほど大きく上がっていないけど、他の面で変化があったという人もたくさんいるはずです。
例えば「食事制限と組み合わせることでLDLコレステロールが大幅に減った」「収縮機血圧が低下した」「外出機会が増え、日常生活での活動量が増加した」「レジスタンストレーニングで筋力が改善した」など、心リハによって得られる効果は人それぞれ、いろいろな形があると思います。
このあたりを意識していないと、10症例すべてで同じように「ATレベルでのVO2がこうなって、○METS相当の運動が可能になった」という紋切り型の内容になってしまいがちです。
実際に担当していた症例ですから、生活面も含めてその人なりにどこがどうよくなったのか?というところをしっかり症例報告の文章に落とし込めると、非常に説得力のある内容になると思いますよ。
自分ができていたかどうかは棚に上げていますが・・・笑
ということで心リハ指導士試験の出願申請書類について今日は解説してみました。こういうアドバイスって職場に心リハ指導士の先輩がいるとふつうに教えてもらえるんですが、そうじゃない職場の方はなかなか情報がないと思いますので、ぜひご参考ください。
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